本記事では、エアコンをご自身で取り外しする手順を画像付きで詳しく解説しています。


取り外しまでの過程はもちろん、必要な道具や費用などについても説明しているのでぜひ参考にしてみてください。
エアコン取り外しを自分でする手順と必要な道具
エアコンの取り外しは、慎重に作業すれば業者に依頼するよりも安くできるのがメリットです。
ただ自力での作業は、費用のコストや手間・けがや事故の可能性などもあります。まずは詳しい手順を確認していき、ご自身でも作業ができそうかどうかを慎重に判断することをおすすめします。
エアコン取り外しの手順と解説動画
エアコン取り外しは以下の手順でおこないます。
【エアコン取り外しの手順】
- エアコン搬出経路の確保、養生などの準備
- 室外機の側面カバーを開け、バルブキャップを外す
- ポンプダウンして冷媒ガスを回収
- 室内機のコンセントプラグを抜く
- 室外機を撤去
- 室内機(エアコン本体)を撤去
- 配管用の壁穴をパテ埋め
冷媒ガスの液体に接触すると凍傷(火傷)したり、吸い込むことで吐き気や意識喪失などの重大な事故につながる危険性をともなう作業です。
もし手順を確認してみて難しそうだと思ったら、無理せず業者に依頼することをおすすめします。
参考:
エアコンの取り外しに必要な道具
まず、ご自身でエアコン取り外しにかかる費用や道具は以下の通りです。
費用の比較
- 自分で作業する場合:1,000円~5,000円
- 業者へ依頼する場合:1台当たり5,000円~10,000円
エアコン取り外しに使う工具
テープなどの道具
あるとよい道具
ゲージマニホールドとは、ポンプダウンという室内機のガスを回収する作業の際に使う道具です。
なくても作業は行えますが、ガスがしっかり回収されたか確認することができるので余裕がある場合は購入しましょう。
作業時にはエアコンから出てきたホコリで部屋が汚れたり、部品が落ちて床が傷ついたりすることがあるので、「養生マット」を敷いておくのがオススメです。
【手順①】エアコン搬出経路の確保、養生などの準備
自分でエアコン取り外し工事をしたいとき、まず大事なのは準備です。エアコンの搬出経路は十分にスペースがあるか確認し、壁や床が傷つかないように養生しておきましょう。
1.搬出経路の確保
エアコンを取り外すときは、まず搬出経路を確保しておきましょう。盲点になりやすいポイントは、「室内機(エアコン本体)」だけでなく「室外機」も運び出せる十分なスペースがあるかどうかという点です。
とくに以下のような場合は要注意。
- エアコン設置後に隣に新しい建物ができた
- 庭木が生長している
- 2階以上のベランダや屋根に室外機が設置されている
- 室外機が天吊り設置されている
隣の建物や庭木の生長によって、エアコン設置時よりも室外機周辺のスペースが狭くなっている可能性があります。十分なスペースがないと運搬ができないだけでなく、取り外し作業も難しくなるので最初にチェックしておきましょう。
また2階以上のベランダでも、作業スペースが確保できなかったり、階下に運び出せなかったりする可能性があります。
室外機が屋根に設置されている場合や天吊りされている場合にいたっては、素人が取り外すなのはキケンなので、はじめから業者に取り外しを依頼するのがオススメです。室外機は約30~50kgほどの重さがあるので、落としてしまうと大変なケガにつながります。
2.エアコン周辺の養生
養生(ようじょう)とは破損や汚れから保護するために、ビニールなどを敷いておくことです。エアコンの取り外し時には、壁との隙間がボロボロこぼれたり、ホコリが大量に落ちたりする可能性があるので、エアコン周辺の養生は欠かせません。
また室内機の取り外しに脚立を使う場合は、床にへこみや傷がつく可能性が高いので、できれば養生用のマットを敷きましょう。専用のものを購入しなくても、捨てる予定の布製品などで代用可能ですが、ある程度厚みのあるものを敷いて床を保護してください。
賃貸の場合は、廊下や階段、エレベーターなどの共用部に傷をつけないように注意しなくてはいけません。業者に依頼すれば搬出経路まで養生してもらえるうえ、万が一に備えて賠償責任保険に加入しているので安心です。
3.室外機の側面カバーを外しておく
エアコンを取り外すときは、室外機の取り外しから始まります。あらかじめ上画像で示した室外機カバーを外しておきましょう。
側面カバーを外すと、このように電源コードやサービスポートがむき出しになります。電源コードに触れると感電の恐れがあるので、不用意に触れないようにしましょう。
雨などによって金属部分がサビていると、カバーを固定しているネジが固まって外れにくいことがありますが、無理に力を入れると頭部がつぶれて外せなくなるので注意してください。
側面カバーのネジがサビている場合は、防サビ用の潤滑油などをふきかけるのがオススメです。
【手順②】バルブキャップを外す
上画像のなかで白い〇で囲まれている部分が「バルブキャップ」です。2本の銅線がそれぞれバルブキャップにつながっているのが分かると思います。
モンキースパナを使って、バルブキャップを2つとも外しましょう。
バルブキャップの横によく似た六角ナットがありますが、誤ってそちらを回さないように注意してください。ナットを外すと冷媒ガスが漏れてしまい、接触すると大変危険です。皮膚に触れると凍傷、目に触れると失明にもつながりかねません。
【注意点】
このとき外した「室外機カバー」や「ネジ」などは、エアコン回収作業で必要になります。捨てないように気を付けましょう。 また感電を防ぐため、3色の電源コード(VVFコード)には触れないように気を付けましょう。 |
【手順③】ポンプダウンして冷媒ガスを回収
次に「ポンプダウン」という作業を行います。室内機と室外機とをつなぐ配管の中には「冷媒ガス」が入っていますが、このガスを室外機側にまとめて回収するのがポンプダウンです。
「ポンプダウン」の手順は以下の通りです。
【ポンプダウンの手順】
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以下の動画ではポンプダウンのやり方をわかりやすく説明しているので、参考にしてみて下さい。
ポンプダウンの手順1.ゲージマニホールドを接続する
ゲージマニホールドとは、ガスの圧力を計測する機器です。これを付けておくことで、ガスが全て回収されたかどうかが分かります。ポンプダウンを過剰に続けてしまうことで起こるトラブルも防げるでしょう。
銅管は2本つながっていますが、上画像のように受け側(太い方の銅管)のサービスポートから接続します。ゲージマニホールドとサービスポートとをつなぐのは、「チャージングホース」という付属部品です。
一応はゲージマニホールドを持っていない場合でもポンプダウンは可能です。だいたい2~3分の時間ポンプダウンすればガスがすべて回収できます。ただし正確にガス圧を測ることができないとガス漏れの危険性が増すので、ゲージマニホールドは使用しましょう。
ポンプダウンの手順2.室外機の「送り側バルブ(細い方の銅管)」を閉める
次に液状の冷媒ガスを送る側のバルブ(細い方の銅管)を閉めます。バルブキャップを外した部分に六角レンチを差し込み、時計回りに回しきりましょう。
この状態で強制冷房運転をすることで、これ以上冷媒ガスが送りこまれなくなり、いま循環している冷媒ガスが室外機に戻ってくるだけになります。
ポンプダウンの手順3.エアコンを強制冷房運転する

暖房では冷媒ガスを回収できないので、ポンプダウンをするときには「強制冷房運転」をおこないます。夏場であれば通常の冷房運転でもうまくいく可能性がありますが、強制冷房運転の方が確実かつ効率的に作業できます。
メーカーや機種によって違いますが、上画像のようにフロントパネルを開けたとき右下に強制冷房運転ボタン(応急運転ボタン)があります。それを5~10秒長押しすると強制冷房運転に切り替わる場合が多いです。一例としてシャープのエアコンで強制冷房運転をする手順を紹介します。
【シャープ製エアコンの強制冷房運転のやり方】
そのほか各メーカーの強制冷房運転のやり方は、以下の記事が参考になります。 |
強制冷房運転ができているか確認する
強制冷房運転のスイッチを押したら、以下の2点で正しく動作しているか確かめましょう。
- 室外機のコンプレッサーが動いているか
- 室内機から冷風が出ているか
室外機のコンプレッサーが動作しているかを確認するには、室外機のカバーに触れて、振動しているか確かめてみてください。振動していれば強制冷房運転が始まっています。ファンだけが回っている場合は、まだ強制冷房運転が始まっていないので注意してください。
またエアコン本体(室内機)のほうから冷たい風が出ているか、手で触って確かめてみましょう。
各エアコンメーカーの応急運転方法と問い合わせ先
シャープ:本体運転中に「応急運転ボタン」を5秒以上押す。問い合わせ先:0120-078-178 |
ダイキン:「運転強制冷房スイッチ」を5秒以上押す。問い合わせ先:0120-881-081(24時間365日) |
日立:「応急運転」を5秒以上押す。問い合わせ先:0120-3121-11 |
パナソニック:エアコンの前面パネルを開け「応急運転ボタン」を5秒以上押す。 問い合わせ先:0120‐878‐692(9:00~18:00、年中無休) |
東芝
ボタンがある機種:運転停止中に「応急運転」「強制冷房運転」「自動運転」ボタンを10秒以上押す。(※ボタン名称は製品によって異なる) スライドスイッチがある機種:運転停止中にスライドスイッチを「冷房」の位置に合わせる。 問い合わせ先:0120-1048-00 |
三菱電機
「応急運転ボタン」を1回押す。 問い合わせ先:0120-139-365 |
コロナ
ヒーポンインバーターWタイプ:リモコンのふたを開いて「試運転ボタン」を細いもので押す。 ヒーポンインバーターN/Bタイプ、インバーター冷房専用タイプ:リモコンの「風量設定ボタン」を押しながら「運転/停止ボタン」を押す。 問い合わせ先:0120-919-302 |
三菱重工:「強制冷房運転ボタン」を5秒以上押す。問い合わせ先:0120-975-365 |
ポンプダウンの手順4.そのままエアコンを2~3分稼働させる
2~3分のあいだ強制冷房運転を続けて、冷媒ガスが室外機に集まりきるまで待ちましょう。ゲージマニホールドのメモリが「0」になったら、冷媒ガスがすべて回収されたという印です。
ただしメモリが0を超えてマイナスの数値になると、故障や機能トラブルが起きる可能性があるので、あまり長く稼働させないように気を付ける必要があります。
ポンプダウンの手順5.室外機の「受け側バルブ(太い方の銅管)」を閉める
ゲージマニホールドのメモリが「0」になったら、冷媒ガスを受ける側(太い方の銅管)のバルブに六角レンチを差し、時計回りに回して閉めきりましょう。
閉め方がゆるいと運搬時にガス漏れする可能性があるので、少しだけ余分に閉めてください。ただし力をこめすぎるとかえって部品が破損する可能性があるので気を付けましょう。
これで送り側も受け側もバルブが閉まっている状態になり、「冷媒ガスが室外機に封じこめられている」状態が完成しました。
ただし念のため、冷媒ガスを回収しきれているかどうかを確認する必要があります。
ポンプダウンの手順6.冷媒ガスの回収を確認
サービスポートからゲージマニホールドを外して、冷媒ガスが回収できたか確認します。サービスポートの差し込み口中央に「虫ピン」と呼ばれる小さい棒があるので、バルブの開閉に使った六角レンチで押してみてください。
虫ピンを押したときの反応で、冷媒ガスをうまく回収できたか分かります。
- 成功:小さく「シュー」と音が聞こえて、次第に弱まっていく
- 失敗:勢いよく冷媒ガスが噴射し続ける
冷媒ガスが回収されていれば、銅管内に残ったわずかなガスが弱く出てきます。送り手側・室内機・受け手側まで冷媒ガスが無くなっている証拠です。
逆にうまくガスが回収できていないと、勢いよくガスが噴出し続けます。この場合は受け側(太管)のバルブをゆるめ、送り側(細管)のバルブはきちんと閉まっていることを確認して、もう1回強制冷房運転を作動させなおしましょう。
ゲージマニホールドを使っていればガス圧を確認しながら作業ができますが、その場合も念のために冷媒ガスがうまく回収できているかを確認しましょう。
ポンプダウンの手順7.強制冷房運転を停止する
最後にエアコンの強制冷房運転を終了して「ポンプダウン」は完了です。
受け側・送り側の銅管をどちらも閉めきった状態で運転し続けると、室外機のコンプレッサーという部品に負荷がかかり、故障につながります。そのためポンプダウンが終わったらすみやかに運転を停止してください。
運転停止後は風向ルーバーが閉まるのを待ちましょう。
ルーバーが開いた状態のままでもコンセントプラグを抜けば運転停止できますが、電源が入っていない状態だと手動で閉めることができなくなってしまいます。
エアコン運搬時にルーバーが開いていると破損しやすいので、閉じたことをしっかり確認してから次の手順に移りましょう。
【手順④】コンセントプラグを抜いて室外機・室内機を撤去
ポンプダウンが終われば電源を入れることはないので、室内機(エアコン本体)のつながっているコンセントプラグを抜きましょう。
ここで確実にコンセントを抜いておかないと、あとで室外機の電源コードを切る作業をするときに感電する危険性があるので、忘れないようにしてください。また、電源を切るときにはエアコンの風向ルーバー(送風向きを調整するはねのような部品)が閉じていることを確認しましょう。
その後は、室外機を撤去します。
室外機の撤去手順
撤去作業時は電源ケーブルの回収作業もあるため、くれぐれも感電事故に気を付けましょう。
手順は以下の通りです。
【室外機の撤去手順】
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床置きの場合は、上記の手順で室外機を撤去していきます。後付けの台などを設置している場合は、そちらの解体も忘れずにおこないましょう。
1.バルブキャップを付けなおし、銅管を外す
まず最初に外したバルブキャップを手で締めなおします。モンキースパナを使ってガッチリ締める必要はありません。またゲージマニホールドを付けていた「サービスポート」のカバーナットも取り付けなおしてください。
そして次は上画像の「〇」で囲ってある部分のナット(フレアナット)を緩めます。このとき2本のモンキーレンチを使うようにしましょう。
【フレアナットを外す手順】
※室外機を処分する場合は、銅管をそのまま切断してもOK。ただし冷媒ガスがしっかり回収できていないと危険なので、かならず再確認してください。 |
1本だけでフレアナットを取り外しても問題ありませんが、固く閉まっているとパーツに負荷がかかり、破損してガス漏れが起こる原因になります。そのため2本のモンキーレンチを使うのがオススメです。
ちなみにガスが回収しきれていないと、フレアナットを外した瞬間に噴き出してしまいます。皮膚に触れると凍傷になったり、目に入ると失明したりする恐れがあるのでくれぐれも注意してください。
不安な場合はもう1回サービスポートの「虫ピン」を押して、ガスが回収できているかどうか確認してみてください。
2.室外機を移設する場合は、銅管の接続部を保護する
フレアナットを外すと、接続部の穴がむき出しになってしまいます。室外機を新居などに移設する場合は、ビニールテープを2~3周ほど貼りつけて、接続部を保護しておきましょう。
保護しておかないと、小さな虫やゴミが入りこむ恐れがあります。もし内部に異物が混入すると、エアコンを運転したときに故障する恐れがあるので、テープでしっかり保護しましょう。
剥がしやすいように、テープの先端を折り返しておくのがオススメです。
3.電源ケーブルを処理する
あとは電源ケーブル(VVFケーブル)の接続を解除することで、室外機を独立した状態にすることができます。
電源ケーブルは上画像のように「黒」「白」「赤」の3つがあり、上からまとめられて1本の灰色ケーブルになっているのが一般的です。
感電の危険性があるため、エアコン本体のコンセントが抜かれているかどうか、再度確認してから作業に移ってください。
ちなみにエアコンを再度利用する場合とそのまま処分する場合で電源ケーブルの処理方法は異なるので注意しましょう。
【エアコンを再度利用する場合】
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取り外したパーツやネジは再度、取り付ける際に必要になるのでなくさないように保管しておきましょう。
【エアコンを処分する場合】
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ケーブルを切る際には「黒色のケーブルから順に1本ずつ切る」ことが大切です。
3本の電源コードを一気に切ると、電源がショートする恐れがあります。不安であれば灰色のカバーを剥いて、1本ずつ切断してもOKです。
切断した部分に触れてケガをしないように、ビニールテープなどでぐるぐる巻きにしておきましょう。
4.室外機を搬出する

あとは室外機と台座との接続を解除すれば、搬出できる状態になります。基本的にはプラスドライバーを使えば外せるタイプが多いです。
室外機を台座から取り外したら、あとは搬出しましょう。室外機は約30~50kgほどの重さがあるので、持ち運ぶのはかなり大変です。ケガをしないように注意しながら、2人以上で作業してください。
もし移設先で同じ室外機を使う予定なら、傷が付いたりしないように気を付けて運びましょう。また室外機にたまっていた雨水などが排出される可能性もあるので、持ち運びのときには注意してください。
室内機の撤去手順
配管穴から外に延びている「ドレンホース」「銅管」を切断して、エアコン本体(室内機)を取り外せる状態にします。
上画像のように太いパイプでまとめられていたり、上から化粧カバーでおおわれていたりするので、あらかじめカッターで切り目を入れておき、銅管やドレンホースをむき出し状態にしておきましょう。
【室内機の撤去手順】
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上記のように、ドレンホースや銅管を切断したうえで、室内側からエアコン本体を取り外します。
エアコン本体と壁とをつなぐ「据付板」という部材もあるので、移設する場合は取り外しを忘れないようにしましょう。
1.ドレンホースを切断する
ドレンホースとは、エアコン室内機内で発生した水を外へ排出するためのホースです。上画像のように最初から独立した状態になっているので発見しやすいでしょう。
エアコンを再利用せずに廃棄してしまうつもりならば、どこから切っても構いません。カッターナイフなどで切断して、室内機を壁から取り外せるようにしましょう。
エアコンを移設して再度使いたい場合は「エアコン側のドレンホース」を切らないようにしてください。ドレンホースをたどっていくとビニールテープが巻かれた部分があるので、そのテープを外せば接続部分が見つかります。
「エアコン本体から延びているドレンホースは白色、室外機側の延長ホースは灰色」なので、この継ぎ目をみて室外側になる方を切りましょう。
誤ってエアコン本体のドレンホースを切ってしまうと、再度取り付けるときに新しいドレンホースを購入しなくてはなりません。メーカー取り寄せになるので配送までに時間もかかり、余計な手間と費用が増えてしまうので注意しましょう。
2.冷媒ガス用の銅管を切断
つぎに冷媒ガスが循環する銅管部分の切断です。テープで保護されているので、まずはある程度むき出しにしてください。化粧カバーがある場合は、あらかじめ取り外しておきましょう。
銅管もエアコンを廃棄処分するならどこを切っても構いません。
エアコンを移設するなら本体側と室外機側との接続部分(ナット)を見つけて、室外機側の方を切断しましょう。
間違って本体側の銅管を切ってしまうと、エアコンが使えなくなってしまうので注意してください。
3.ドレンホースや銅管をテープで束ねておく
ドレンホースと銅管の切断が終わったら、あとで室内側から引っこ抜きやすいように、テープで束ねて1つにまとめておきましょう。
また配管穴とドレンホースや銅管との向きを平行にしておくと、室内側から引っ張るときにスムーズです。
ただし無理やり曲げてしまうと銅管が凹んだり折れたりしてしまうので、優しくゆっくり扱うようにしてください。
4.エアコン本体の取り外し
いよいよエアコン本体(室内機)の取り外しです。先ほどまとめた配管も一緒に抜き取ります。
室内機の左右両端に手を当て、ゆっくりと上へ持ち上げていきましょう。エアコンの下には据付(すえつけ)板というプレートがあり、そのツメに引っかかるようにして設置されているので、下から上に持ち上げるだけで取り外しが可能です。
勢いよく持ち上げてしまうと、一気に重量がかかってエアコンを落としてしまうので注意しましょう。エアコンを持ったまま脚立を降りる場合は、足を滑らせないように1段ずつ慎重に降りてください。
またこのとき、エアコン内部にたまっていた水が傾いて漏れてくることがあります。水に驚いて急に手を放してしまうと危険なので、あらかじめ濡れることを覚悟しておいてください。
脚立の摩擦や工具の落下によって床が傷つく恐れもあるので、あらかじめブルーシートや養生マットを敷いておきましょう。
取り外したエアコンは床に直置きすると傷がついてしまうかもしれないので、毛布や布団の上にそっと置くのがオススメです。
5.据付板の取り外し
据付板を固定しているビスやボルトを、ドライバーで外していきましょう。最後のビスを外した瞬間に据付板が落ちてしまうと危険なので、据付板を片手で支えながら作業しましょう。
【手順⑤】配管用の壁穴をパテ埋めする
これでエアコン本体も室外機も取り外すことができたら、あとは壁の穴埋めです。エアコン用のパテ(粘土のようなもの)を使って穴を埋めるか、上からエアコンキャップを取り付けましょう。どちらも数百円で購入できます。
アパートなどの引っ越しで、原状回復が必要な状況なら、もともと付いていたエアコンを再度設置しましょう。
取り外したエアコン本体のまとめ方
エアコンを移設する場合も、処分する場合も、ホースや銅管を1つにまとめてコンパクトにしておきましょう。
【取り外したエアコンのまとめ方】
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エアコン背面の下部には、ドレンホースや銅管を収納するスペースがあるので、そこに収めてから据付板を取り付けるとコンパクトになります。
ただし銅管を収納するときは、折れないようにゆっくりと扱うように注意してください。
電源ケーブルはフロントパネル下の端子盤の部分に収納しておくか、輪っかを作ってヒモで束ねておくと持ち運びやすいでしょう。電源ケーブルは室外機側と接続方法は同じなので、ビスを外してケーブルを1本ずつ取り外すことも可能です。
取り外しの機会に覚えておきたい、エアコンの構造
エアコンの構造を知っておくことは、取り外し・取り付け工事のときにとても大切です。なにも知らない状態で触れると破損や故障を招きかねません。しかしエアコンの仕組みが分かっていれば、その手順が安全なのかどうかを判断できるからです。
そこでエアコン取り外し工事にかかわる、エアコンの基本的な構造を紹介します。
エアコンの電力供給
エアコンの室内機からコンセントプラグが接続されていることは、ほとんどの方は知っているでしょう。しかしエアコンには専用のコンセントが使われていることは、知らない方もいるのではないでしょうか。
エアコンのコンセントは大きく分けると「100V」と「200V」のものがあります。さらに、それぞれ「15A」と「20A」に分かれているので、計4種類です。
エアコンは他の家電と比べて多大な電気量を消費するので、専用のコンセントが必要となります。
専用コンセントから供給された電力は、室内機から室外機へと、電源ケーブル(VVFケーブル)を伝わって供給されています。
エアコン取り外し・取り付け工事に大切なのはこの部分です。室内機と室外機とのあいだには電気が流れるケーブルがつながっているので、扱いに注意しなくてはいけません。
コンセントプラグを付けたまま電源コードを切断すると、感電や停電につながる恐れがあるので注意しましょう。
エアコンの熱交換
エアコンは室内の空気を吸い込んで、室外機に送っています。室外機で空気中の熱を取り除いて、その空気を室内へ送り返すことで、「冷房」「暖房」などが運転しているのです。
室内の空気の温度を変えることを「熱交換」と言います。熱交換をするためには空気の熱を排出する必要がありますが、その空気の熱を循環させているのが冷媒ガス(フロンガス)です。
冷媒ガスは銅管のなかを通って、室外機から室内機、室内機から室外機をつねに行き来しているので、そのままの状態で銅管を切断すると噴出してしまいます。
銅管は熱を運んでいるということ、そして熱を運ぶ冷媒ガスを回収しないまま切断すると危険だということを頭に入れておきましょう。
エアコンの排水
エアコンの室内機では水が発生します。冷房や除湿を運転することで、エアコン内部の空気が冷やされ、空気中の水蒸気が結露するからです。冷たいガラスに水滴がつくのと同じ原理になっています。
エアコン内部で水が発生すると、下にあるドレンパンという受け皿に落ちます。そしてドレンパンに流れた水は、「ドレンホース」という排水管を通って、室外に排水されていくのです。
室外機とつながっている銅管と同じく、ドレンホースもまた壁の穴を通って室外につながっています。エアコン取り外しのときには銅管とドレンホースをそれぞれ切断する必要があることを覚えておきましょう。
ちなみにドレンホースを切る位置を間違えると、新居で取り付けすることができなくなります。メーカーから販売されている延長部品を購入すれば対処可能ですが、手間と費用がかかるので注意しましょう。
エアコン取り外し工事で失敗しないための注意点4つ!
①エアコン室内機・室外機の撤去経路を確保する
エアコンの室内機・室外機ともに「取り外す」ことだけでなく、「取り外したあと」にエアコンをどこへ片付けるか、あらかじめ考えておきましょう。
室内機も室外機も1人で運ぶには、かなり重いものです。あらかじめ撤去する導線を確保しておかないと、重量がある機械を抱えたまま右往左往することになってしまいます。
取り外した機器をどこに置いていくか、またどこに持って行って処分するのかなどを考えたうえで、移動が1回で済むように計画をたてましょう。
②ポンプダウンでの爆発事故に注意!
エアコン取り外しの中でも特に重要な作業が「ポンプダウン」です。冷媒ガスを取り扱うため危険をともないます。ときには「爆発事故」につながってしまうこともあるので十分に注意しましょう。
爆発事故は「部品の劣化などによってガス漏れしているとき」に起こることが多いです。
銅管の亀裂などから大気が入り込むと、冷媒ガスと混ざり合った状態で循環して室外機に到達します。
室外機の「コンプレッサー」という部分では、空気が圧縮されることで「圧縮熱」が発生しているので、「冷媒ガス+大気」が熱に触れることで発火し「ディーゼル爆発」という現象が起こってしまいます。
ほかにも「漏れ出したガスに引火」したり、「接続部分のオイルに着火」したりといった事故が考えらるでしょう。事故なく作業を終えるためには、あらかじめ自宅のエアコンが万全の状態で、自分で取り外し作業できるかを判断しておきましょう。
③取り外し・切断などした部材は養生しておく
エアコンの取り外し作業では、ドレンホースや銅管、むき出しの電源ケーブルを切断する作業があります。
切断した箇所をそのままにしておくと、触れてケガをしてしまう危険性があるので注意が必要です。
切断したり、取り外したりした部材は、ビニールテープなどを使って養生しておくのを忘れないようにしましょう。
④養生マットや養生シートを敷こう
エアコンの取り外し工事をするときには、養生マットや養生シートをしておくことで、思わぬ事故を防げるでしょう。
エアコン本体の取り外しのとき、壁から外したドレンホースから水が出てきたり、ホコリなどのゴミが舞い落ちることが考えられます。
また脚立やハシゴを使った作業のときには、床・フローリングに直接立ててしまうと、傷がつく原因になりかねません。
ほかにも部品を落としてしまったり、工具を踏んでしまったりする可能性も考えられます。
傷をつけるのを防ぐため、また汚さないためにも、あらかじめ養生マットやブルーシートを敷いておくようにしましょう。
エアコン取り外し・取り付けを業者に依頼する場合は?
以下のケースは取り外し作業のリスクが高いため、無理をせずエアコン工事の専門業者に依頼するのがおすすめです。
- 壊れたエアコン
- 室外機が特殊な位置に設置されているエアコン
- 10年以上使用した古いエアコン
- 室内機・室外機の周りにスペースがないエアコン
なお、2つ目に挙げた「室外機が特殊な位置」とは、以下の画像のような場所を指します。
これらのケースは高所や足場が狭いスペースでの作業が発生します。事故の危険が伴うので、必ず専門の業者に依頼しましょう。
エアコンの取り外し費用相場
エアコン取り外しを業者に依頼する際にかかる費用は、5,000~10,000円が相場です。ただし特殊な設置方法だったり、天井埋め込みタイプの場合はもう少し高いと考えておきましょう。
【追加料金が発生する例】
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見栄えがいい「隠蔽配管」ですが、取り外しのときには壁内での作業も必要になるため、追加料金が発生します。
特殊な施工方法で設置されているエアコンの取り外しに追加料金がかかるのは、それだけ手間や危険性があるということです。費用を浮かせようとして作業するよりは、業者に依頼して安全に取り外してもらいましょう。
エアコン工事業者を選ぶ場合のコツは?
エアコンの取り外しを業者に依頼する場合、以下3つのポイントをチェックしましょう。
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エアコン取り外し業者を選ぶときには、3社以上の見積もりを比較するのがオススメです。料金やサービス内容を比較して、相場を把握することができます。見積もりだけでなく作業実績や口コミなども参考にして選ぶとよいでしょう。
また、万が一の事故に対応できる「損害賠償責任保険」もあれば安心です。もしも作業中にエアコンが破損したり、家具家電や家が傷ついたりしたときに、保険で補償金がまかなわれます。
なお新居に移設する場合は、「きちんと再利用できる形で取り外してもらえるか」も確認したいところ。業者によっては、事前に申告しなければ処分する前提で取り外してしまう場合もあるので注意しましょう。
エアコン取り外しは重労働だけれど自分でもできる
この記事では、エアコンの取り外し方について、具体的な手順や注意点を紹介してきました。
とくにポンプダウンという作業は複雑で難しいため、事前に作業内容をしっかり確認しておきましょう。
もし不安があるようなら、業者依頼がおすすめです。費用相場も5,000~10,000円とそこまで高くないので、自分で作業する労力・時間をかんがえて比較検討してみましょう。
ミツモアなら、予算やスケジュールなどの簡単な質問に答えるだけで、最大5人のプロから見積もりが届きます。また気になった業者とチャットを使って時間や場所を気にせずに相談ができるので、忙しい人にもぴったりです。